【これだけで分かる!線形代数】 固有値と固有ベクトルの巻 ~行列式から線形変換,固有方程式までを一気に解説!~

線形代数

線形代数を学び始めると,必ず登場するのが固有値固有ベクトルです。
名前だけ見ると難しそうですが,実は

「行列が持っている“特別な方向”と“伸び縮み率”」

を表しているだけです。

この記事では,

  1. 行列式と固有値
  2. 線形変換としての行列
  3. 固有方程式

という順番で,直感を大切にしながら説明していきます。


1. 行列式と固有値の関係

行列式とは何を表しているか

まず,\(2 \times 2\) 行列
$$ A = \begin{pmatrix} a & b \ c & d \end{pmatrix} $$
の行列式は

$$ \det A = ad – bc $$

でした。

この数は,

  • 面積を何倍にするか
  • 向きを反転させるかどうか

を表しています。

たとえば,

  • \(\det A = 2\) なら「面積を2倍」
  • \(\det A = 0\) なら「平面をつぶす」

という意味になります。


固有値は「特別な倍率」

固有値 \(\lambda\) は,次のような意味を持つ数です。

「ある特別な方向のベクトルを,\(\lambda\) 倍するだけの変換」

この「倍率」が固有値です。

行列式は「全体の体積(面積)の倍率」でしたが,
固有値は「特定の方向に限った倍率」だと思ってください。


2. 行列は線形変換である

行列は「計算ルール」ではなく「変形」

行列 \(A\) をベクトル \(\mathbf{x}\) にかける
$$ A\mathbf{x} $$
という操作は,

ベクトルを回転・伸縮・せん断する操作

だと考えると理解しやすくなります。

例えば,

$$ A = \begin{pmatrix} 2 & 0 \ 0 & 1 \end{pmatrix} $$

を考えると,

  • x方向は2倍
  • y方向はそのまま

という変形をしています。


普通のベクトルは向きが変わる

一般には,ベクトル \(\mathbf{x}\) に行列をかけると,

  • 向きが変わる
  • 長さも変わる

ということが起こります。

しかし,ある特別なベクトルだけは違います。


向きが変わらないベクトル

行列 \(A\) によって,

$$ A\mathbf{v} = \lambda \mathbf{v} $$

となるベクトル \(\mathbf{v}\) が存在することがあります。

このとき,

  • \(\mathbf{v}\):固有ベクトル
  • \(\lambda\):固有値

と呼びます。

つまり固有ベクトルとは,

行列をかけても「向きが変わらない」ベクトル

なのです。


3. 固有方程式はどうやって出てくるか

定義から式を作る

固有値・固有ベクトルの定義は

$$ A\mathbf{v} = \lambda \mathbf{v} $$

でした。

右辺を左に移項すると,

$$ (A – \lambda I)\mathbf{v} = \mathbf{0} $$

となります。
ここで \(I\) は単位行列です。


「ゼロでない解」が存在する条件

この式が意味を持つためには,

$$ \mathbf{v} \neq \mathbf{0} $$

である必要があります。

線形代数では,

\((A – \lambda I)\mathbf{v} = \mathbf{0}\)
がゼロでない解を持つ
⇔ \(\det(A – \lambda I\) = 0)

という事実がありました。


固有方程式

したがって,

$$ \det(A – \lambda I) = 0 $$

この式を固有方程式と呼びます。

これを \(\lambda\) について解くと,
固有値が求まります。


具体例(2×2行列)

$$ A = \begin{pmatrix} a & b \ c & d \end{pmatrix} $$
のとき,

$$ \det(A – \lambda I) = \det \begin{pmatrix} a-\lambda & b \ c & d-\lambda \end{pmatrix} $$

$$ = (a-\lambda)(d-\lambda) – bc $$

これを0とおいた二次方程式が,固有方程式です。


まとめ

  • 行列式:全体をどれだけ伸ばすか
  • 線形変換:行列は空間を変形する操作
  • 固有値:特別な方向の伸び縮み率
  • 固有ベクトル:向きが変わらない方向
  • 固有方程式:\(\det(A – \lambda I) = 0\)

固有値・固有ベクトルは,
「行列の本質的な性質を抜き出したもの」です。

この視点を持つと,
対角化,微分方程式,データ分析(主成分分析)など,
多くの話題が一気につながって見えてきます。

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